ちょっといい話
POMジュースの誕生

   エヒメ生コン 社長
       谷本 永年
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 戦後間もなくの秋、本県に大型台風が襲来し、取り入れ前の温州ミカンが落果し、多大な損失をもたらした。時の県青果連会長 桐野忠兵衛は、市場へ出せない莫大なミカンを前に苦慮し、せめて手動の搾り器で果汁だけでも利用できないかと部下に命じ、それを試飲してみると、なかなかいけるではないかということになり翌年から製品化することとした。

 さて、
商品名をどうするかで理事会に計ったが名案が出ない。
つづまるところ、時の県知事、久松定武に名付け親になってもらおうと衆議一決し、お願いをした。数日後、知事から呼び出しがあり、フランス語で
POMとは、素晴らしいという意のある言葉であるから、「ポンジュース」ではいかがとの提案あり、桐野会長、その旨を青果連の理事会に計ったところ、口から飲み干す飲みものの名が、『ポン』とはなにごとか、イメージが余りにも悪いではないかの声大なり、しかし、知事さんは、フランス留学も長期に亘り、貴族院試員と歴任されたインテリぞよ、ましてや今回は名づけ親になってくれと頼んでおきながら『ポン』というのは汚ならしいけん、いけんでは済まんぞナの声もあり、結論、東京、大阪の大消費地では『ポン』という当地での方言の意味はわからんのじゃなかろうか、それでやってみようということになり、現在の「POMジュース」の誕生となったわけである。